毎月DiPS.Aでは、お得意様へ当店の情報をお伝えする『DiPS.A news』というお便りを送付させていただいております(店頭にも置いておりますのでご来店の際にご覧いただけたら嬉しいです)。最新のVol.27では、彫刻家・丸尾康弘氏の作品集『丸尾康弘作品集 2011年3月11日〜2015年』を新刊としてご紹介しています。実は丸尾氏は私が高校の頃に美術系予備校で大変お世話になった恩師なのであります。十数年ぶりに再開し、今回このような形でご一緒にお仕事をさせていただき大変感慨深いものがあり、巡り合わせの面白さを感じました。
以下、今回のDiPS.A newsでご紹介したテキストをそのまま引用します。
“熊本県出身、桐生市在住の彫刻家である丸尾康弘氏が2011年3月11日〜2015年の間に制作した彫刻作品を集めた作品集をこの度出版されました。
東日本大震災後多くの作家が、「自然の脅威に対していかに自分たちは無力なのか」というような台詞を語っていたのを様々なメディアで見聞きしました。あれから4年半経ち、その間、それぞれ作家たちの表現も震災を一つの境として大きく変わっていった印象を持ちます。
丸尾氏もそんな作家の一人でした。作品集のタイトルに“2011年3月11日”と記されているように、ここに収録されている作品の多くは、あの震災を強く意識していることが伝わってきます。その像たちの表情はどこか苦悩や憂いを感じさせるものであったり、怪異な姿をしてぼんやりと重い空気を漂わせています。木で形作られた像は山や森といった自然そのもので、そういったものをまるで擬人化しているようにも思えてきます。
時に儚く美しく、時に牙をむく自然。人の生命もそんな大きな流れの一部であるということを優しく祈るように作品たちが語りかけてくるかのようです。
この期会に是非作品集を手に取り、震災以降の世界を見つめ直してはいかがでしょうか?”
もし気になる方がいらっしゃいましたら、当店&隣のノイエス朝日で販売(2,000円・税別)しております。丸尾氏の作品が素晴らしいのはもちろんのこと、作品集としても充実しておりますのでアートに興味のある方にお薦めです。
(Y)