アッシュです。
印刷会社に勤めていても知らない印刷機械の事情とか、紙の事情とか…たくさんあるものです。
先日はあるアーティストの展示に必要な「紙」と「印刷」を手配するのに右往左往しました。お使いになりたい紙はズバリ「ユポ」。選挙の投票用紙とかで使われる、紙好きの人には有名なやつです。これは水に強かったり、折り目がつきにくかったり(すぐ開くから開票時間の節約になるとか)する合成紙ですが。。。
壁① ユポといっても色々な種類があるのでどれにするか悩みました。とりあえず本当に投票で使われるような厚さと手触りのもので決定。
壁② 枚数的にレーザー印刷機ではなくてオフセット印刷だな…と思っていましたが、今回は特に「ベタ」印刷ということで「オフセットだといつまでたっても全然乾かないよー」とのこと。さらに乾いても手にインクがうつってしまうような状態になるそうです。そこで最終的にはオフセットUV印刷に変更。
壁③ 普通ベタY(イエロー)といっても、黄色く見せるために赤を混ぜたりする方がいいらしいのです。が、作家の希望で今回はぜったいクレームにしないからY90パーセントを通してほしいと指示。CMYKといっても、現場のプロフェッショナルがインクの調整をしていることを知りました。
壁④ 普通のオフセットでもユポを刷る場合は「ユポ用インキ」を使用するということです。でもUVオフセットになればその場で乾くのだからインクは一緒でしょ…と思ったら、UV印刷用ユポ専用インキというのがあるそうです。すべて工場には常備されているものじゃないので取り寄せだし割高だとか(涙)。
ということで、文章にするとあっという間ですが、この壁を乗り越えていくのに様々な人の知恵と手を借りて、ギリギリ展示に間に合う納品にたどり着いたわけです。
仕上がったものにお客様は大満足。こちらもいいお勉強になりました。
Y90パーセントのイエローがコチラ↓
この紙は「MOTアニュアル2020 透明な力たち」(11月14日~2月14日まで、東京都現代美術館)のなかの展示で使われますよー!!
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-annual-2020/
それほど密になる空間ではないと思うので、チャンスがあったら是非ご覧になってみてください。
よい週末を!!!